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売上目標の決定方法は?管理会計で利益が生まれやすい企業になろう!

財務・会計
まるたん商社の社長(仮)
まるたん商社の社長(仮)

今期も無事に決算が終わりました。

売上高も前期に比べ、110%増加となりました。

利益額は前期とほぼ同じですが、売上が伸びているので問題ないと思っています。

今期の売上目標を決めたいと思っていますが、何かいい方法はありませんか?

ヒロユキ
ヒロユキ

売上目標や目標利益額を達成するための売上高の算定には「管理会計」がおススメです。

ところで、まるたん商社の社長は売上高が110%になったから問題ないと言っていますが、本当に大丈夫なのでしょうか?

管理会計をうまく使うことで、目標売上高の設定や、自社が利益が生まれやすい構造なのかも分かります。

事業を営んでいる人なら必ずといっていいほど、目標を立てて経営をされていると思います。しかし、その目標は「根拠のある目標」ですか?「とりあえず売上は前期の120%を目指そう!」など、何となく決めてしまっていたりしませんか?

「根拠のない目標」は絵に描いた餅になってしまいます。そうならないように、出来るだけ「根拠のある目標」を立てられるようになりましょう。

本記事の内容

  • 根拠のある売上目標の決定方法がわかります。
  • 利益の仕組みと原価の中身を解説します。
  • 管理会計の考え方、使い方を解説します。
  • 目標売上高を達成できない場合の対処法は?利益が生まれやすい構造とは?

根拠のある売上目標の決定方法

根拠のない売上目標とは、なぜその目標数値になったのか、なぜその目標数値にするのかの理由がない目標をいいます。根拠がなければ、結果が出たときに良かったのか悪かったのか判断できず、次に活かすことができません。

利益の仕組みと原価の中身

利益の計算方法はご存じでしょうか? (売上 - 原価 = 利益)ですよね。

売上は商品・サービスを提供した際に受け取ったお金、原価は商品の仕入価格や人件費などを支払ったお金と思ってください。

原価の中には、売上の増加に比例して増加する原価(変動費といいます。)と売上に関係なく発生する原価(固定費といいます。)があります。

変動費の例としては、材料費・仕入商品・容器代など。固定費の例としては、人件費、地代家賃などがあります。

管理会計の考え方、使い方

利益の仕組みや原価の中身が分かったところで、「管理会計」の考え方と使い方を解説していきたいと思います。

「管理会計」とは、会計情報を経営管理者の意思決定や組織内部の業績測定・業績評価に役立てることを目的としています。決算書は企業外部への情報提供のために作成されるものであり「財務会計」と言われます。

  • 管理会計・・・企業内部の業績測定や意思決定に活用される
  • 財務会計・・・企業外部の利害関係者に対して情報提供するもの

それでは、管理会計を活用して出来ることを紹介していきます。

損益分岐点売上高が分かる

損益分岐点売上高とは、売上高 - 原価 =「0」、つまりプラマイゼロになる売上高のことをいいます。損益分岐点売上高が分かるようになれば、最低でもその売上高を達成できれば、赤字にはならないという事になります。

事前に情報さえあれば、計算方法は簡単です。必要な情報は①売上高、②変動費、③固定費の3つです。管理会計では、売上高から変動費を差し引いた利益(限界利益といいます。)で固定費を回収していきます。そして、すべての固定費を回収した時がプラマイゼロとなり、その時の売上高が損益分岐点売上高です。

損益分岐点売上高=固定費 ÷ 限界利益率  ※限界利益率とは、限界利益 ÷ 売上高で算出。

例として、商品1つ当たりの売上高5,000円、同じく変動費3,000円、固定費200,000円だったとしましょう。限界利益は売上高5,000円 - 変動費3,000円 =2,000円ですね。限界利益率は限界利益2,000円 ÷ 売上高5,000円 =0.4(40%)となります。これらの情報をもとに、実際に計算してみましょう。

損益分岐点売上高= 200,000 ÷ 0.4(40%)= 500,000円となります。

ちなみに、商品1つ当たりの販売価格が5,000円だとすると、必要な販売数量は500,000円 ÷ 5,000円 = 100個ということになります。この数量を販売数の目標とすることも出来ますね。

目標利益額を達成する売上高を算出できる

管理会計を活用すれば、目標利益額を達成する売上高とその販売数量を算出することができます。

目標達成売上高 =(目標利益額 + 固定費)÷ 限界利益率

先ほどの例を使って計算してみましょう。達成したい利益額を1,000,000円とします。

目標達成売上高 =(1,000,000円 + 200,000円)÷ 0.4(40%)= 3,000,000円

1つ当たりの販売価格が5,000円とすると、販売数量は3,000,000円 ÷ 5,000円 = 600個となりますね。この販売数を年間目標とすると、月間目標販売数は50個になります。

これで、売上目標を決定することが出来るようになりました。実際は単一の商品を販売しているのは珍しいので、こんなに単純ではありませんが、考え方は同じなので、活用できます。

目標売上高を達成できない場合の対処法は?利益が生まれやすい構造とは?

前段では、管理会計を活用して目標売上高や販売数量を計算しました。しかし、現実はそんなに甘くありません。目標売上高が算出されたとしても、実現可能な売上高でないと意味がありません

先ほどの例でいうところの目標売上高3,000,000円が現実的に実現できない無謀な数字だったとしたらどうしますか?目標とする利益額を減らしますか?それでいいですか?

このような状況になってしまった場合の対処法は下記の手順で対応します。

  • 【STEP1】固定費を削減する
  • 【STEP2】変動費を減らし、限界利益率を上げる
  • 【STEP3】目標利益額を見直す

【STEP1】固定費を削減する

目標利益額を達成するための売上高はどのように算出したか覚えていますか?

目標達成売上高 =(目標利益額 + 固定費)÷ 限界利益率 でしたよね。この計算式を見てわかる通り、不要な固定費を削減し、減らすことで目標達成売上高が低くなります。

固定費は企業内部で発生している経費がほとんどなので、無駄な経費がないか見直すことで削減は可能です。

【STEP2】変動費を減らし、限界利益率を上げる

【STEP1】のときの目標達成売上高の計算式を見てわかる通り、固定費だけでなく限界利益率を上げることでも目標達成売上高は低くなります。限界利益率が上げるという事は、固定費の回収率が上がっていることになります。その分、利益が確保しやすくなっています

限界利益率を上げるためには、主に①販売価格を上げるか、②商品・材料の仕入れ価格を下げるの2つの手段となります。どちらも相手がいて成り立つことなので、実現度が少し下がります。

具体的な売上増加の方法や経費削減についてはこちらの記事にまとめております。

【STEP3】目標利益額を見直す

【STEP3】は目標利益額を見直すことです。当然のことですが、目標利益額があまりにも現実的でない場合は見直す必要があります。

【STEP3】の前に、固定費を削減し、限界利益率を上げているはずなので、実施すべき改善は行われて後です。それでも、目標利益額に達しないのであれば、その目標利益が必要な理由をもう一度考えてみましょう。

将来の設備投資のために、資金が必要なのであれば、不足分は借入金で補うという選択肢を選ぶことも出来ます。若しくは、今の事業では確保できる利益額に限界があるのかもしれません。もしかすると関連のある別の事業を検討する必要があるかもしれません。

まとめ

ここまで管理会計を活用した売上目標の決定方法や、目標売上高を達成できない場合の対処法と利益が生まれやすい構造について解説してきました。

今回は売上目標にフォーカスしましたが、計算式が分かれば、固定費をいくら削減すればいいのか?外注している仕事の内製化は利益になるか?など、様々なことに使うことができます。

根拠のある数値に基づいて売上目標を設定すれば、モチベーションも上がります。また、目標との差異分析もできるようなります。分析が出来るようになれば、改善することができるようになります。

このサイクルを繰り返すことで、少しづつ利益が生まれやすい企業になり、環境変化に強い組織になっていきます。

最後まで読んでいただいてありがとうございます。今後の事業運営の参考になれば、嬉しいです。

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