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経営相談にきました。
これから事業をもっと拡大していきたいと考えています。
どのような経営戦略を立て、実行していくべきでしょうか?
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中小企業が事業を拡大していくためには差別化を図っていく必要があります。
経営相談した際にこのようなアドバイスされた経験はないでしょうか?そのときは「そうなのか」と思ったと思いますが、後から「なぜ差別化が必要なんだろう?」と疑問に感じたことはありませんか?
差別化戦略をアドバイスするのは、ランチェスター戦略という考え方が前提にあるからです。ただ、アドバイスする際にはランチェスター戦略といわれてもピンとこないため差別化戦略と言葉を変えています。今回は差別化戦略のもととなるランチェスター戦略について解説していきたいと思います。
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本記事の内容
- ランチェスター戦略の2つの法則
- ランチェスター戦略のメリット
- ランチェスター戦略実践のポイント
- まとめ
ランチェスター戦略の2つの法則
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ランチェスター戦略は、特にビジネスやマーケティングの分野で使われる競争戦略の一つで、もともとは軍事理論に基づいています。この戦略は、第一次世界大戦中にイギリスの航空エンジニアであるフレデリック・ランチェスターが提唱したもので、戦争における戦力の関係性を数理モデルで表したものです。ランチェスターの法則としても知られています。
ランチェスター戦略には、主に以下の2つの法則があります。
1. 第一法則(ランチェスターの直線法則)
第一法則は、接近戦・局所戦ということで、剣などを使った狭いエリアでの一騎打ちに適応されます。
- この法則は、主に個別の戦闘(1対1の戦闘)に適用されます。
- 力(戦闘力)は、兵力の数に比例します。すなわち、兵力の多い方が勝利する確率が高いです。
- 式で表すと、戦闘力 = 兵力数 × 個々の戦闘力。
例えば、兵力数は6人、個々の戦闘力は1のA軍と、兵力数は3人、個々の戦闘力は3のB軍が闘うとします。勝つのはどちらでしょうか。
先ほどの計算式に両軍の兵力数と個々の戦闘力を当てはめてみると、
A軍:6×1=6
B軍:3×3=9
となりますので、兵力数で勝っているA軍ではなく、個々の戦闘力が高かったB軍が勝利することが分かります。
これがランチェスター第一法則です。
このランチェスター第一法則が示していることは兵力数(企業でいう資本)が少なくても個々の戦闘力(企業でいう強み)が高ければ、勝つことができるということです。
2. 第二法則(ランチェスターの二乗法則)
第二法則は、銃などの兵器を利用した、広域戦に適応されます。
- この法則は、集団戦闘(多対多の戦闘)に適用されます。
- 力は兵力の二乗に比例します。すなわち、数の多さがより決定的な影響を持ちます。
- 式で表すと、戦闘力 = 兵力数*2 × 個々の戦闘力。
先ほどの第一法則で用いたA軍とB軍の事例をこちらの計算式にも当てはめてみましょう。
A軍:(6人の2乗=36)×1=36
B軍:(3人の2乗=9)×3=27
となりますので、今度はA軍が勝利しました。
ランチェスター第二法則が示していることは、広域(世界や日本全体など)では個々の戦闘力(強み)ではなく兵力数(資本)があるほうが勝つということです。
ビジネスにおいてランチェスター戦略は、特に中小企業が大企業に対抗する際に用いられます。具体的には以下のような形で活用されます。
弱者の戦略
- ニッチ戦略: 小さな市場に特化し、大企業が手を出さない市場をターゲットにする。
- 集中戦略: 資源を特定の製品や地域に集中させることで、競争優位を築く。
- ゲリラ戦略: 短期的なプロモーションやキャンペーンで市場シェアを奪う。
強者の戦略
- 広範囲戦略: 幅広い市場をカバーし、多様な製品ラインを持つ。
- ブランド戦略: 強力なブランドイメージを構築し、消費者の認知度を高める。
- スケールメリットの活用: 大規模な生産や販売によるコスト削減と効率化を図る。
第二法則は兵力数の差が戦闘力に大きな影響を与えていました。つまり、個々の戦闘力を上げたとしても、大軍に勝つのは困難です。
一方、第一法則は兵力数が劣っていたとしても、個々の戦闘力が勝っていれば勝つことができました。これが、「弱者の戦略」と呼ばれる理由です。
ランチェスター戦略は、企業が自身の立ち位置を理解し、競争環境に応じた最適な戦略を策定するのに役立つフレームワークです。この戦略を理解し適用することで、企業は競争優位を築きやすくなります。
ランチェスター戦略のメリット
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ランチェスター戦略のメリットは、特に競争が激しい市場において企業が効果的に戦略を策定し実行するための実践的なガイドラインを提供する点にあります。以下に、具体的なメリットを挙げます。
1. 競争環境の明確な分析
ランチェスター戦略は、競争環境を定量的に分析するためのフレームワークを提供します。これにより、企業は自身の強みと弱みを客観的に評価し、効果的な戦略を立てることができます。
2. 資源の最適配分
資源の限られた中小企業にとって、リソースを最も効果的に配分するための指針となります。特定の市場セグメントや地理的領域にリソースを集中させることで、競争優位を築くことができます。
3. ニッチ市場への特化
ランチェスター戦略は、大企業が見落としがちなニッチ市場をターゲットにすることを推奨します。これにより、小規模な企業でも独自の市場で優位に立つことが可能です。
4. 柔軟性の向上
特に弱者の戦略では、迅速な対応と柔軟な戦術が求められます。これにより、企業は市場の変化や競争相手の動きに迅速に対応できるようになります。
5. リスクの分散
集中戦略を用いることで、企業は特定の市場に特化する一方で、他の市場でのリスクを分散させることができます。これにより、全体としてのビジネスリスクを軽減できます。
6. コスト効率の向上
特定の分野に集中することで、コスト効率が向上します。例えば、製品開発やマーケティング活動において、一貫したメッセージやブランディングを行うことでコストを削減できます。
7. 競争優位の確立
ランチェスター戦略を活用することで、企業は独自の競争優位を確立しやすくなります。例えば、特定の技術やサービスに特化することで、市場での認知度と評価を高めることができます。
8. 実践的な戦術の提供
具体的な戦術(例:ゲリラ戦術や集中戦術)を提供するため、企業は即座に実行に移せる行動計画を立てやすくなります。これにより、計画の実行可能性が高まります。
9. 競争相手の動きを予測しやすい
ランチェスター戦略に基づく分析により、競争相手の動きを予測しやすくなります。これにより、先手を打つ戦略を策定することが可能になります。
ランチェスター戦略は、特に資源が限られた中小企業や新興企業にとって、効果的な競争戦略を構築するための有力なツールとなります。
ランチェスター戦略実践のポイント
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ここからは、ランチェスター戦略を実際に導入する際のポイントについて解説していきます。
ランチェスター戦略を実践する際において特に重要なポイントは、次の2つです。
・ナンバーワン主義
・一点集中主義
それぞれ解説していきます。
ナンバーワン主義
ランチェスター戦略におけるナンバーワンとは、1位を獲ればいいわけではありません。2位と大差をつけた圧倒的1位を目指すことが推奨されています。
なぜなら、2位との差が微差であれば、その地位を奪われる可能性があります。1位と2位が常に激しく争っていては、収益は安定しません。
ですが、圧倒的ナンバーワンになることができれば、2位は勝ち目がないと悟り、棲み分けを意識した戦略に切り替えるため、自社の収益を安定させることができます。
これが、圧倒的ナンバーワンを目指すべき理由です。
一点集中主義
「圧倒的ナンバーワン」とは、「業界1位」のみを指すものではありません。零細企業や中小企業が業界1位を目指すのは、難易度が高いでしょう。
しかし、ランチェスター法則の第一法則(弱者の戦略理論)に則って考えると、狭いエリアでの戦闘においては、企業規模(戦闘人数)が小さくても、武器能力が高ければ戦闘力を高めることができます。
つまり、ある特定の分野において「圧倒的ナンバーワン」を目指せば勝機があるということです。
このことを「一点集中主義」といいます。
資本力のある大企業は兵力数で戦う戦略をとります。例えば、大量生産によるコスト削減で低価格商品を展開することです。1つの商品に対する利益は少なくても大量に生産し、販売することで大きな利益を得てきます。資本力の乏しい中小企業はこのような戦略をとることは現実的に困難なため、兵力数ではなく個々の戦闘力を上げて、大企業の手が行き届かないところで戦う必要があります。
地域、顧客層、販路、商品など、自社の強みに絞ってどこに一点集中するべきか考えてみてください。
まとめ
今回は、ランチェスター戦略の概要やメリット、実践のポイントなどを解説しました。
ランチェスター戦略は、ニッチなフィールドで圧倒的ナンバーワンを獲り続けることで、着実なシェア拡大・利益拡大を狙う戦略理論です。
ランチェスター戦略を実践するには、継続的に市場の変化に対応し、自社の競争力を強化する努力が求められます。
企業規模に関係なく導入できますので、ぜひ自社の強みを見つけて取り組んでみてはいかがでしょうか。
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