今回は中小企業診断士が行う経営診断の現場について解説をしたいと思います。
これから中小企業診断士の取得を目指される方や、経営診断を受けてみようか悩んでいる事業者の方に、この記事を読んで、中小企業診断士がどんなことをして経営診断報告書を作成しているのか、実感してもらえればと思います。
本記事の内容
- 中小企業診断士が行う経営診断の内容
- 経営診断を受けるメリット・効果
- 事業者が経営診断を受ける方法や料金
中小企業診断士が行う経営診断って何するの?
![](https://marutan-blog.com/wp-content/uploads/2023/10/会議中の様子.jpg)
経営診断とは、中小企業診断士が企業に訪問し、経営者に現在の経営状況やさまざまなデータをヒアリングし、その企業の課題や目指すべき方向性を「経営診断報告書」にまとめ、経営者に報告することです。
経営診断を例えると・・・?
経営診断は、人間でいう健康診断と例えられることが多いのですが、私の場合は、健康診断+天気予報ではないかと思っています。
健康診断は現時点での良いところ・悪いところを評価して報告するものです。健康診断だけでは悪いところが分かっただけで「まぁ、こんなもんか」と思って終わってしまいがちです。
天気予報に例えた理由としては、もし明日の天気が100%雨の予報だったら「明日の天気は100%雨だから、忘れずに傘を持っていこう」と考えますよね?でも、明日の天気が分からなければ傘を持っていく行動は起きません。
中小企業診断士が行う経営診断は、これからの天気(市場・業界の動きや法改正など)を予測しながら企業における課題や事業の方向性を提案します。
経営診断報告書の記載内容
一般的には以下のような内容を経営診断報告書に記載します。診断する企業によって違う場合がありますので、その点はご了承下さい。
経営診断報告書の記載事項
- 経営戦略・・・企業の沿革、経営理念・方針、ビジネスモデルなど全体的な内容を記載
- 販売・営業・・・販売・営業の分野について現状・課題・提案を記載
- 財務・会計・・・財務・会計分野について現状・課題・提案を記載
- 人事・労務・・・人事・労務の分野について現状・課題・提案を記載
- IT・情報・・・IT・情報の分野について現状・課題・提案を記載
- スケジュール・・・課題や取り組むべき行動をガントチャートなどで報告
- まとめ
この他にも、企業によっては「国際化・環境」、「製品開発」、「生産・技術」、「資材・購買・外注」など内容が追加されたりします。
経営診断を受けるメリット・効果
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経営診断報告書の内容を説明しましたが、企業にとって経営診断を受けることでどのようなメリットや効果があるのでしょうか?
経営診断を受けるメリット
企業が経営診断を受けるメリットは以下の3つです。
- 自社の内部環境を再確認・発見できる
- 経営資源を活用して自社の目指すべき方向性が分かる
- 経営課題に対して、改善すべき内容を提案してもらえる
自社の内部環境を再確認・発見できる
内部環境とは、経営資源など自社でコントロールできる領域のことです。
経営診断では経営者とのヒアリング内容をもとに、内部環境分析として、その企業が持つ強みと弱みを分析します。
企業が持つ強みとは、他社に負けない技術やノウハウなどのことであり、弱みとは、自社にとってマイナスとなる要素であり、顧客ニーズに対応できていない内容や設備的な不備などのことを指します。
経営診断でヒアリングを進めていくにつれて、経営者が気づかなかった強みを発見することもあります。同様に弱みが見つかることもあります。
私が経営者に対してヒアリングして、自社の事を話していくうちに「現状について整理できて、スッキリした」という声もありました。
新たに強みが見つかれば、企業にとって新たな武器を手に入れたことになり、強みを活かした営業活動が出来るようになります。これが上手くいけば、売上の増加につながります。
経営資源を活用して自社の目指すべき方向性が分かる
先ほどの内部環境を再確認・発見しましたが、ここに外部環境である機会と脅威の内容を追加して事業の目指すべき方向性を考察します。
外部環境とは、市場動向や競合他社の動きなど、社内でコントロールできない領域のことです。
企業にとっての機会となる内容として、「関連しそうな市場が拡大してきている」や「法改正によって義務化される」などが挙げられ、企業にとって有利に働く内容になります。脅威とは、機会と同様に市場動向や法改正などによって不利に働く内容になります。
企業の内部環境と外部環境を分析した後、目指すべき方向性を検討します。ここで使う手法がクロスSWOT分析です。内部環境である強み(Strength)、弱み(Weakness)と外部環境である機会(Opportunity)、脅威(Threat)の頭文字を取ったものであり、掛け合わせることで事業の方向性を考えることができます。
![](https://marutan-blog.com/wp-content/uploads/2023/10/クロスSWOT分析.png)
ここで最も重要なことは、強みと機会の組み合わせです。この組み合わせが事業の進むべき方向性になります。企業にとって強みが多ければ多いほど、この組み合わせが多くなるため、経営戦略を立てやすくなります。
経営課題に対して、改善すべき内容を提案してもらえる
クロスSWOT分析によって、企業が目指すべき方向性が決まりましたが、現状と目指すべき場所にギャップがあることがあります。
例えば、インターネットの普及とネット販売市場の拡大によって、パン屋さんが独自の商品を店舗販売だけでなく、ネット販売したいとした場合、ECサイトの構築や鮮度の確保するために必要な設備(真空パックなど)が必要になります。
こういった課題に対して、どのように対応するべきか提案することがあります。先ほどの例の場合ではECサイトを構築するためにはどうすべきか、社員の教育が必要となるがどのように教育するか、など出来るだけ実現可能なレベルの提案を行います。
事業に忙しい経営者にとっては、提案があるだけでも助かりますよね。
経営診断を受けたことによる効果
経営診断を受けたことによる効果は以下のようになります。
- 内部環境を整理することで、新たな強みを発見できる
- 事業の目指すべき方向性が分かる
- 経営課題について、対応すべき内容が明確になる
- 売上が増加する、従業員のモチベーションが向上するなど
事業者が経営診断を受ける方法や料金
ここまで、経営診断報告書や経営診断を受けるメリットや効果を解説してきました。最後に、どうすれば経営診断を受けることができるのか?また、料金は掛かるのか?掛かるとしたらいくらなのか?について解説します。
経営診断を受ける方法
- 事業所のある県の中小企業診断協会に問い合わせる
- よろず支援拠点などの公的機関に問い合わせる
- 信用保証協会に問い合わせる
- 中小企業診断協会が公表している紹介名簿をみて、直接連絡してみる
経営診断に掛かる料金
経営診断に掛かる料金は、公的機関で受ける場合は無料の場合が多いです。なぜなら国や県の委託を受けて実施していることが多いため、診断を受ける企業からもらう必要がないからです。
中小企業診断士に直接依頼した場合は、有料になります。相場は10~30万と言われています。私の場合は個人事業者だと12万、法人だと24万としています。診断後、伴走支援を受けてもらえる場合は経営診断の料金を半額とさせてもらっています。
人によって、料金体系は違うので、ホームページなどで事前に確認することをおススメします。
参考までに私のホームページのリンクを貼っておきます。
岡山コンサルティング | 補助金 申請 | 山口県熊毛郡田布施町 (okayama-consulting.com)
この記事を読んで、中小企業診断士を目指してみようかと検討中の方は、こちらの記事を参考にしてもらえたらと思います。
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