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企業経営に関わる士業の業務内容を解説!具体的な判断例も公開します!

資格勉強・経営実務

企業経営していく上で、自社だけで解決することが難しい問題に直面します。また、業務委託やサポートを受けることでより効率の良い経営を実現することも出来ます。このように自社で解決できない内容や業務委託した方が効率的な場合に「士業」と呼ばれる専門家を活用することになります。

でも、意外と士業の専門家がそれぞれ何をしているのか、どこまでやってくれるのかなど知らなかったりします。そこで、今回は企業経営に関わりの深い士業の業務内容の解説とどういったときに活用するのかも解説していきたいと思います。

本記事の内容

  • 企業経営に関わりの深い士業
  • 具体的な判断例
  • まとめ

企業経営に関わりの深い士業

企業経営に関わりの深い士業は以下の7つです。

  • 税理士
  • 社会保険労務士
  • 弁護士
  • 司法書士
  • 弁理士
  • 行政書士
  • 中小企業診断士

各士業の専門分野(独占業務)と業務内容を解説していきたいと思います。

税理士の専門分野と業務内容

士業の中で一番関わっている割合が高いのが税理士ではないでしょうか。税理士は税の専門家としてクライアントに対してアドバイス等を行います。

税理士の独占業務とは、税理士法に基づいて税理士が専ら行うことができる業務のことです。税理士法は、税理士が行うべき業務を定め、それらの業務において税理士が専門家としての知識や技能を発揮することを目的としています。

税理士の独占業務には以下のようなものがあります。

  1. 税務相談業務: 税金に関する相談やアドバイスを提供すること。
  2. 税務申告業務: 法人税、所得税、消費税などの税務申告書の作成や提出を行うこと。
  3. 税務調査の代理: 税務当局からの調査や査察に対して、クライアントを代理して対応すること。
  4. 税務訴訟の代理: 税務当局との紛争や訴訟において、クライアントを代理して裁判や交渉を行うこと。

これらの業務は、税理士が専門的な知識やスキルを持って行うことが求められます。税理士法に違反して、税理士の独占業務を他の者が行うことは禁止されています。

税理士の専門分野と業務内容は多岐にわたりますが、一般的には以下のようなものがあります。

  1. 税務申告業務: 法人税、所得税、消費税などの申告書の作成や提出を行います。税務申告に関するアドバイスや税金の最適化も行います。
  2. 税務コンサルティング: 企業や個人に対して、税金に関するアドバイスや戦略を提供します。節税のアドバイスや税務リスクの評価などが含まれます。
  3. 会計監査: 企業の財務諸表の監査を行い、法令や規制に準拠しているかどうかを確認します。会計監査は税理士だけでなく、公認会計士も行いますが、税理士もこの業務を行うことがあります。
  4. 相続税申告業務: 遺産相続に伴う相続税の申告書の作成やアドバイスを行います。相続税の最適化や贈与税に関するアドバイスも含まれます。
  5. 国際税務: 跨国企業や個人のために、国際的な税務計画や税務リスク管理を行います。異なる国の税制や税制改正に関するアドバイスも提供します。
  6. 経営コンサルティング: 税理士としての専門知識を活かし、企業経営に関するアドバイスを提供します。資金調達、業績向上、組織改善などに関与することがあります。

これらの業務を通じて、税理士は法人や個人の税務リスクを最小限に抑えながら、税金の最適化や法的なコンプライアンスを支援します。

社会保険労務士の専門分野と業務内容

社会保険労務士は、日本における労働法や社会保険制度に関する専門家です。企業や個人に対して、労働法や社会保険制度に基づいたアドバイスや支援を提供します。具体的な業務内容としては、以下のようなものがあります。

  1. 労務相談業務: 労働法に関する相談や労働トラブルの解決策を提供します。雇用契約や労働条件、解雇に関する相談などが含まれます。
  2. 労務管理業務: 企業の労務管理に関する支援を行います。労働規則の作成や改定、勤怠管理のアドバイス、賃金制度の設計などが含まれます。
  3. 労働保険手続きの代行: 労働者の健康保険や厚生年金、労災保険などの手続きを代行し、適切な保険料の納付や給付の申請を支援します。
  4. 労働問題の解決支援: 労働紛争の解決や労使交渉の支援を行います。労働委員会や労働関係調査委員会での代理人として活動することもあります。
  5. 労働法のコンプライアンス支援: 労働法や労働関連法令に関するコンプライアンスの確保を支援します。法令遵守のアドバイスやリスクマネジメントを行います。

社会保険労務士は、企業や労働者が労働法や社会保険制度に関する問題やリスクに適切に対処し、円滑な労働関係を維持するための重要な存在です。

弁護士の専門分野と業務内容

弁護士は、法律の専門家であり、法的な問題や紛争の解決に関するアドバイスや代理人業務を行う人物です。弁護士は法律を専門的に学び、法律の知識や技能を持っています。弁護士は法廷での訴訟や法的手続きの代理人として活動することが一般的ですが、それ以外にもさまざまな業務を行います。

弁護士の主な業務には以下のようなものがあります。

  1. 訴訟代理: 法廷での訴訟手続きにおいて、クライアントを代理し、法的な主張を行います。訴訟の提起、書類の作成、法廷での弁論、証拠の提出などを行います。
  2. 法的アドバイス: 個人や企業に対して、法律に関するアドバイスや解釈を提供します。契約の作成や解釈、法的リスクの評価、法的問題の解決策の提案などが含まれます。
  3. 交渉: 争いや紛争の解決のために、当事者間の交渉を行います。交渉の際には、クライアントの権利や利益を守るために活動します。
  4. 法的文書の作成: 契約書や訴状、法的通知書など、法的文書の作成を行います。これらの文書は、法的な手続きや取引に必要とされるものです。
  5. 法的調査: 法的な問題に関連する事実や証拠の収集や調査を行います。訴訟や交渉の準備のために、事実関係や法的根拠を把握します。

弁護士は法律の専門家として、個人や企業が法的な問題に対処し、権利を守るために不可欠な存在です。法的な専門知識とスキルを活用して、クライアントの利益を最大限に守ることに努めます。

司法書士の専門分野と業務内容

司法書士は、特定の法律業務を専門とする法律関係の専門家です。彼らは法務省に登録されており、一定の法定業務を行うことができます。司法書士の業務は、一般的に以下のようなものがあります。

  1. 不動産登記業務: 不動産の売買や贈与、相続などに関連する登記手続きを行います。具体的には、土地や建物の登記簿謄本の取得、不動産の所有権移転登記、抵当権設定登記などが含まれます。
  2. 法人設立・登記業務: 会社や法人の設立や変更に関する手続きを行います。具体的には、会社設立登記、定款の作成、役員変更登記などがあります。
  3. 相続手続きの代行: 相続人が法定相続分を受け取るための手続きや遺産分割の手続きを代行します。遺産分割協議書の作成や相続税申告書の提出などが含まれます。
  4. 債権回収の代理: 債権者としての権利を代理し、債権回収手続きを行います。具体的には、債権の譲渡や差押え手続きの代行などがあります。
  5. 訴訟手続きの代理: 法務書類の作成や裁判手続きの代理を行います。特定の訴訟に関連する書類の作成や法廷での弁論などが含まれます。

司法書士は、不動産や法人設立、相続など特定の法律手続きにおいて専門的な支援を提供します。彼らの業務は、法的手続きの適正な実施や法的なトラブルの解決に貢献します。

弁理士の専門分野と業務内容

弁理士は、特許や商標などの知的財産権に関する専門家です。弁理士は特許庁や商標庁に登録され、特許出願や商標登録などの手続きを代理して行うことができます。弁理士は、技術や知識に関する専門的なトレーニングを受けており、特許や商標に関する法的手続きや問題に対処する能力を持っています。

弁理士の主な業務には以下のようなものがあります。

  1. 特許出願の代理: 発明者や企業の代理として、特許出願書類の作成や特許庁への提出を行います。特許出願の際には、技術的な内容や特許性の評価、出願戦略の立案なども行います。
  2. 商標登録の代理: 企業や個人の代理として、商標登録出願書類の作成や商標庁への提出を行います。商標登録の際には、商標の有効性や類似性の評価、商標保護の範囲の確定なども行います。
  3. 特許や商標の権利侵害の調査: 特許や商標の権利侵害が疑われる場合に、調査や評価を行います。侵害訴訟の準備や交渉の支援も行うことがあります。
  4. 特許や商標の有効性評価: 特許や商標の有効性を評価し、他者からの無効審判や異議申立てに対処します。有効性評価のための調査や証拠の収集を行います。
  5. 知的財産権の管理: 企業や個人に対して、知的財産権の管理や活用に関するアドバイスを提供します。特許や商標のポートフォリオ管理やライセンス契約の支援などが含まれます。

弁理士は、知的財産権に関する法的な手続きや問題に対処することで、企業や個人の知的財産の保護と活用を支援します。弁理士の専門知識と経験は、技術革新やブランド保護などの重要な分野で役立ちます。

行政書士の専門分野と業務内容

行政書士は、行政手続きや法的手続きに関する専門家です。彼らは、特に行政機関との間で行われる各種手続きや書類作成、法的なアドバイスを提供します。行政書士は、法務省に登録されており、特定の法定業務を行うことができます。

行政書士の主な業務には以下のようなものがあります。

  1. 行政手続きの代行: 個人や法人が行政機関との間で行う様々な手続きを代理して行います。具体的には、各種許認可申請、届出書類の提出、公共機関への申請書類の作成などが含まれます。
  2. 法的アドバイス: 行政法や行政手続きに関するアドバイスを提供します。行政機関とのやり取りや手続きに関する法的な知識を活用し、クライアントに適切なアドバイスを行います。
  3. 許認可申請の準備: 建設許可や営業許可など、各種許認可の申請書類の作成や手続きを行います。必要な書類の収集や整理、申請書の作成などを行います。
  4. 行政紛争の代理: 行政機関との間で紛争が生じた場合に、クライアントを代理して対応します。行政訴訟や行政不服申立ての手続きを代行し、クライアントの権利を守ります。
  5. 地方自治体とのやり取り: 地方自治体との間で行われる手続きや契約に関する代理を行います。土地利用の許可申請や地方税の申告などが含まれます。

行政書士は、行政手続きや法的手続きに関する専門知識を持ち、クライアントが行政機関との間で円滑に対応できるよう支援します。個人や企業が法的手続きを適切に行い、行政機関との間で円滑なコミュニケーションを確保することに貢献します。

今回紹介している税理士、弁護士、弁理士は行政書士に登録すれば、行政書士としても活動することが出来ます。

中小企業診断士の専門分野と業務内容

中小企業診断士は、中小企業の経営支援や経営改善を専門とする資格を持つ専門家です。彼らは、経営課題の解決や事業の発展を支援し、中小企業の健全な成長を促進します。中小企業診断士は、経営コンサルタントや経営アドバイザーとして活動し、経営者や経営者候補、行政機関などに対してサービスを提供します。

中小企業診断士の主な業務には以下のようなものがあります。

  1. 経営診断: 中小企業の経営課題や問題点を分析し、経営改善のための提案を行います。経営状況の評価や経営戦略の策定などが含まれます。
  2. 経営コンサルティング: 中小企業の経営者や経営幹部に対して、経営に関するアドバイスや支援を提供します。業績向上策の立案や業務改善の提案などが含まれます。
  3. 経営支援プログラムの開発: 中小企業向けの経営支援プログラムの開発や実施を行います。経営者や従業員の能力開発、経営改善のための研修プログラムなどが含まれます。
  4. 事業計画の策定: 中小企業の事業計画や財務計画の策定を支援します。事業展開の戦略立案や資金調達の計画などが含まれます。
  5. 行政手続きの支援: 中小企業の行政手続きや補助金申請などのサポートを行います。行政機関とのやり取りや手続きの代行も行うことがあります。

中小企業診断士は、中小企業の経営者や経営幹部が直面する様々な課題に対して、専門的なアドバイスや支援を提供することで、事業の持続的な成長や発展を支援します。

中小企業診断士の具体的な業務内容はこちらの参考記事をご覧ください。

中小企業診断士が行う経営診断って何するの?経営診断報告書を解説!

具体的な相談内容と判断

ここからはよくある具体的な相談内容をもとに、もし士業に依頼するとしたらどの士業になるのかを解説したいと思います。

相談内容依頼する士業
確定申告書の作成や法人の決算申告書の作成を依頼したい。税理士
法人設立登記をお願いしたい。司法書士
取締役の任期満了や変更があった。どうすればいい?司法書士
就業規則を作成したい、見直ししたい。社会保険労務士
社会保険に関する手続きや代行を依頼したい。社会保険労務士
作成した契約書や提示された契約書が問題ないのか確認してほしい。弁護士・司法書士・行政書士
設備投資を考えている。補助金申請のサポートをしてほしい。中小企業診断士・行政書士
売上の伸ばすにはどうすればいいか相談したい。中小企業診断士
特許や商標登録について相談したい。弁理士
会計の記帳代行をお願いしたい。誰でもサポート可、税理士
事業計画書を作成したい。サポートしてほしい。中小企業診断士
自社の経営課題は何なのか教えてほしい。具体的な解決案を探したい。中小企業診断士
営業許可の申請書類作成を依頼したい。行政書士

まとめ

今回は企業経営に関わりのある士業を紹介してきました。基本的に自社で手続きや書類作成することは問題ありません。しかし、正しい知識を元に作成しなければ、思わぬ事件になってしまうかもしれません。

知らないことで損をしたりすることもいっぱいあります。知っていればもらえた助成金や補助金申請、節税など知っていることで得することもあります。このようなことがあることを分かっていても時間的な制約で出来なかったりすることもしばしばです。うまく士業の専門家を使って企業経営していきたいですね。

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