今回は中小企業診断士を取得して5年目になる筆者が、中小企業診断士はどんな仕事をしているのか?どれくらい稼いでいるのか?という疑問に対して解説していきたいと思います。
中小企業診断士には、資格取得後、独立して活動している「独立系中小企業診断士」と企業内で中小企業診断士の知識を活かしている「企業内診断士」の2つのパターンがあります。
今回は「独立系中小企業診断士」の仕事内容や年収を解説していきます。
本記事の内容
・独立系中小企業診断士の仕事内容
・独立系中小企業診断士の報酬単価と年収
・どこから仕事を受けているか?専門分野は?
中小企業診断士の仕事内容
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中小企業診断士の仕事内容は、経営コンサルタントとして企業の抱える様々な課題や問題点を解決するための施策を立案・提案し、経営者をサポートする内容がほとんどです。
具体的な内容を下記にランキング形式(従事日数が多い順)でまとめてみました。(データ元は一般社団法人中小企業診断協会「データでみる中小企業診断士2016」)
仕事内容のランキング
【第1位】経営指導
経営者の悩みを聞き、経営方針・戦略に沿った助言・指導を行う
【第2位】診断業務
経営者にヒアリングし、客観的に企業の強み・弱みを分析し、現在の課題・問題点を抽出し、解決のための提案を行う。
【第3位】調査・研究業務
特定の分野について調査(市場調査・ニーズ調査など)・研究を行う。
【第4位】講演・教育訓練業務
ある特定の分野について講演を依頼される。企業の従業員のレベルアップのために教育訓練の講師などを受けて、セミナー等を開催する。
【第5位】執筆活動
自身の経験や知識などをもとに本を出版したり、業界誌やメディアからの依頼に基づいて、記事を執筆する。
経営コンサルタントが本業なので、「経営指導」や「診断業務」が上位になります。経営者に信頼されてくると「経営指導」や「診断業務」を通じて「調査」や「教育訓練」につながったりします。
仕事のテーマランキング
実際にどのようなテーマの業務に携わることが多いのでしょうか?
ランキング上位5位でまとめました。
【第1位】経営革新・経営改善支援
早期経営改善計画書の作成や業務改善、コスト削減などの支援を行う。
【第2位】販路拡大、販促支援
売上を拡大するために「どこのだれに何をどのようにして売るのか」やお店や商品の魅力をどのように相手に伝えるか、どんなツールが使えるか、などを話し合いながら支援を行う。
【第3位】事業再生、再チャレンジ支援
思い切った事業転換や事業再生のための支援を行う。
【第4位】人材教育、雇用、労務関係支援
離職率の下げるにはどうすればいいか、人事評価制度を見直したい、職場リーダーの教育セミナーを開催してほしいなどの要望に応える。
【第5位】ベンチャー・創業支援
これから事業を始めたい、もしくは始めたばかりの企業に創業計画を作成したり、強みを活かした事業を提案する。
他にも、「財務・資金繰り支援」や「ものづくり(生産管理、製品・技術開発)支援」などがあります。
業績を良くするには、売上を上げる、業務を効率化させる、コストを削減する、といったことが必要なので、自然と「経営改善」や「販路拡大・開拓」が上位に上がってきます。
中小企業診断士の報酬単価と年収
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中小企業診断士がどういった内容の仕事をしているか、何となくわかってきたと思います。
やはり気になるのは、その仕事でどれくらい稼げるのか?年収はどれくらいなのか?といったことでしょう。ここでも、ランキング形式で紹介していきたいと思います。
業務ごとの平均報酬単価ランキング
公的業務の報酬額と民間業務の報酬額で単価が大きく違います。ここでは公的業務の平均報酬単価(1日当たり)を紹介します。
民間業務の平均報酬単価は公的業務の1.5~2.0倍であることが分かります。
【第1位】公演・教育訓練・・・51,700円/日 ⇒ 民間だと125,000円/日
【第2位】診断業務 ・・・47,500円/日 ⇒ 民間だと105,200円/日
【第3位】経営指導 ・・・37,900円/日 ⇒ 民間だと110,000円/日
【第4位】調査・研究 ・・・37,100円/日 ⇒ 民間だと64,800円/日
【番外編】原稿執筆 ・・・68,000円/枚 ⇒ 民間だと85,000円/日
独立系中小企業診断士の年収
年間業務日数が100日以上の方の年間売上高(年収)は以下の通りです。
独立系中小企業診断士の年間売上高(年収)
引用元:一般社団法人中小企業診断協会「データでみる中小企業診断士2016」
データを見る限り、年収501~800万円以内が一番多いです。国の調査によると日本人の年収の中央値は約399万円であるため、独立系中小企業診断士の8割ぐらいの人が中央値を上回っていることになります。さらに、全体の中で1,000万円を超える人は38%ということも分かりますね。
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どこから仕事を受けているか?専門分野は?
どういった仕事をしていて、どれくらいの報酬単価なのか解説してきました。つづいては、その仕事そのものがどこから受注もしくは獲ってきているのかをランキングにしてみました。
業務の受注先ランキング
【第1位】中小企業支援機関・商工団体などからの紹介
エキスパートバンク事業を利用した全国の商工会・商工会議所からの依頼や中小機構からの専門家派遣など
【第2位】現在や過去の顧問先企業からの紹介
いわゆる口コミに近い紹介です。しっかりと成果を出していれば紹介されやすくなります。
【第3位】同業者からの紹介
他の中小企業診断士から仕事を回してもらいます。中小企業診断士が受ける相談は幅広いため、自分一人では解決できないこともあります。そのため、内容によっては外注といった形で仕事を受けることがあります。
【第4位】各県の診断士協会からの紹介
各県の診断士協会は他の公的機関から事業を受託しているため、診断業務やDX支援等の案件を紹介してもらうことがあります。
【第5位】金融機関からの紹介
金融機関から経営改善してほしい事業者を紹介されることがあります。
得意とする専門分野は?
もし、あなたが中小企業診断士に仕事を依頼するとした場合、どのような基準で選びますか?
①広く浅く知識を有した人、②ある分野(解決してほしい分野)に精通している人であった場合、どちらを選びますか?
もちろん②を選ぶと思います。中小企業診断士は試験の学習上、広く浅く知識を習得しています。そのため、最初は①の人であり、その後、自分の専門分野に特化して②になっていきます。
では、他の中小企業診断士がどのような分野が得意なのでしょうか?ランキングにしてみました。
【第1位】経営企画・戦略立案
【第2位】販売・マーケティング
【第3位】財務
【第4位】人事・労務管理
【第5位】情報化、IT化
最近では、「DX」やWebを活用したマーケティングの依頼が増えてきています。これから必要そうなのは「IT」に関することだと思っています。
無理にランキングに合わせる必要はありません。現在の自分の仕事の中で、人に教えられる内容であれば、それはご自身の「強み」になります。
必要な知識や経験は、後からでも補充できます。必要に応じて勉強していきましょう。どの資格もですが、取得がゴールではありません。取得して初めてスタートラインに立つことが出来るのです。
中小企業診断士は「独占業務」がないことが弱い部分だと言われています。ですが、逆に考えてみましょう!「独占業務」があると「独占業務」しかやらなくなりませんか?「独占業務」に縛られることで業務の線引きをしてしまいがちです。
その点、中小企業診断士は自由です。他の士業の方が対応できていない部分を自身の「独占業務」と捉えれば、可能性は無限大です。ここが、AIに代替されにくいと言われる理由だと思っています。
誰にでも可能性がある資格が中小企業診断士ですね。興味がある方は資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。下記の記事も参考にしてもらえたらと思います。
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