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資金繰りを解消するために必要な資金は?黒字倒産を防ぐ方法とは?

財務・会計

新型コロナウイルスが落ち着いてきて、観光客や飲食業界も活気を取り戻してきたように思います。しかし、苦しいコロナの時期にコロナ融資で新規借り入れをした事業者はこれから返済が始まってきます。売上は伸びてきたけど、資金が足りなくなり倒産の危機に!なんてことも今後は考えられます。

そのような状況にならないために、短期的に1年間に必要な資金を計算し、必要資金から月々の売上目標を決定して、管理していく必要があります。

今回は資金繰りを解消するために必要資金の計算方法と黒字倒産を防ぐ方法を解説していきたいと思います。

本記事の内容

  • 資金繰りを解消するために必要な資金は?
  • 黒字倒産を防ぐ方法
  • まとめ

資金繰りを解消するために必要な資金は?

経営をしていく上で必要なものは「ヒト・モノ・カネ」と言われます。最近ではIT化が進んでいるため「情報」もピックアップされています。その中の「カネ」の部分である資金繰りは非常に重要です。なぜなら「ヒト」や「モノ」は我慢できても「カネ」だけはどうしようもないからです。

なぜ多くの経営者が資金繰りに悩んでいるのでしょうか?

答えは簡単です。資金がないからです。当たり前のことですが、資金に余裕があれば資金繰りに悩むことはありません。

ではもう少し掘り進んでいきましょう。資金に余裕とはどういった状況でしょうか?

余裕のある資金については、人それぞれの心の持ちようによって違いますが、基本的には預金に1ヶ月に掛かる資金の3ヶ月分あれば余裕があると思います。事業によっては売上の入金が2ヶ月先だとか現金売上のみという事もありますので、調整は必要です。

資金繰りの悩みを解消するには、資金に余裕があればよく、余裕のある資金は1ヶ月に掛かる資金を3ヶ月分持っていればいいという事になります。

では、具体的にいくらなのか?を計算する必要があります。計算する方法は2パターンあります。1つは1ヶ月に掛かる資金を積み上げて計算する方法です。もう1つは前期の利益から資金繰りに必要な利益額を計算し1ヶ月分を計算する方法です。2つのパターンを紹介していきます。

1ヶ月に掛かる資金を積み上げて計算する方法(積み上げ式)

積み上げ式の計算方法は非常にシンプルです。前月に支払った資金をすべて足していく方法です。経理を会計ソフトを使って処理している場合は、会計ソフトの月次試算表から計算できます。計算式は以下の通りになります。

1ヶ月に掛かる資金 = 売上原価 + 販管費 - 減価償却費 + 借入金返済額

売上原価とは、売上に直接掛かる費用のことをいいます。商品の仕入や製造業であれば製品を製造するのに必要な経費のことです。販管費とは、通常の営業活動に掛かる費用のことをいいます。事務員の人件費や事務所の水道光熱費・地代家賃などが含まれます。

この2つに関しては損益計算書でも費用として処理されているので、解りやすいと思います。

次に減価償却費を引きます。なぜ減価償却費を引くのかというと、減価償却費は会計上は費用となっていてもお金が減っていません。なぜなら減価償却費とは過去に購入した固定資産の価値減少分を費用として計上している金額だからです。減価償却費は通常販管費に含まれているため、販管費の中から減価償却費を取り除くことで実際に支払うべき資金が見えてきます。

最後に借入金の返済額を足します。これは実際にお金が動いているので、比較的わかりやすいと思います。借入金の他に車両やリース資産の分割払いの金額も足しましょう。

【積み上げ式のメリット・デメリット】

・メリットとしては、シンプルに資金の支払い分だけを足すだけで計算できる。月次試算表があれば、もっと簡単に計算できる。

・デメリットとしては、計算する月によって計算される金額に変動があるため、正確性に欠ける。ボーナスの支払い時期であったり、税金の支払い時期であったりする場合は調整が必要になる。正確性を上げるには1ヶ月だけでなく、3ヶ月平均で計算する方法がある。

前期の利益から資金繰りに必要な利益額を計算する方法(利益逆算式)

利益逆算式は前期の利益から資金繰りに必要な利益額を計算する方法です。前期の決算書と借入金返済予定表があれば簡単に計算することが出来ます。会計ソフトを使っていなくても資料さえあれば計算できるのもメリットの1つです。

資金繰りに必要な利益 = 前期利益額 - 減価償却費 + 借入金返済額

この方法は必要な資金を直接計算するのではなく、資金が回るために必要な利益額を計算する方法です。資金が回るために必要な利益額が分かれば、管理会計の考え方を使うことで年間に必要な売上額を計算することが出来ます。年間に必要な売上額が分かれば、月々の売上目標に展開することでより具体的な数字に落とし込むことが出来ます。

↓↓↓↓管理会計の考え方についてはこちらの記事を参考にして下さい↓↓↓↓

売上目標の決定方法は?管理会計で利益が生まれやすい企業になろう!

【利益逆算式のメリット・デメリット】

・メリットとしては、管理会計の考え方を使うことで年間売上目標額が設定できる。その金額をもとに月々の売上目標や短年度予算額としても活用することが出来る

・デメリットとしては、あくまで年間で必要な利益額であるため、季節変動やボーナスの支払い時期などは調整が必要になる。

黒字倒産を防ぐ方法

資金繰りが出来ていないと黒字倒産ということが起きます。黒字倒産とは、商品が売れて帳簿上は利益が出ているにもかかわらず、支払いに必要な資金が不足し、倒産してしまうことを言います。企業間取引(BtoB)においては、実際に商品を販売してもその場で代金を受け取れるとは限らず、数カ月後にならないと現金を受け取ることができない場合があります。この商品を販売してから実際に現金を受け取るまでの間に、仕入代金、人件費、借入返済などの支払いに必要な資金が不足し、倒産してしまうことがあります。

【黒字倒産を防ぐ方法】

  • 入出金状況を把握する
  • 回収サイトは短く、支払サイトは長く
  • 過剰在庫を避ける
  • 資金調達力を強化する
  • キャッシュフロー経営を心掛ける

黒字倒産を防ぐには、普段から資金繰りを気に掛けておく必要があります。先ほど紹介した方法で管理しておきましょう。また、売上の回収は出来るだけ早く、支払は遅くなるように出来れば資金繰りも楽になります。在庫は販売して現金化されるまでに時間がかかります。特に過剰な在庫を抱えてしまうと、売れ残りのリスクもあり、大きな資金負担となります。適切な在庫管理を行い、資金繰りに無理が生じないようにしましょう。

まとめ

今回紹介した方法で、資金繰りに必要な資金はいくらなのか?またはそれを実現するための利益額はいくらなのか?が分かると思います。現時点で資金そのものが足りない場合は、まずは資金調達が必要になります。しかし、資金調達をするにも月々の必要資金が把握されており、返済額を踏まえて無理のない事業計画を提示しなければ調達することは困難です。

↓↓↓↓資金繰りについての記事はこちら↓↓↓↓

【資金不足・資金繰り】資金調達の5つの方法とメリット・デメリット

資金繰りに必要な利益額が達成できないような状況の場合は、経費の削減や利益率を改善し、少ない売り上げでも多くの利益が残るような経営体質に変えていく必要があります。そのためには原価を管理して原因を突き止め、改善していかなければなりません。

当事務所では、事業者向けに原価管理代行システムの導入をお勧めしております。興味のある方は下記のページを参照ください↓↓↓↓

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