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【資金不足・資金繰り】資金調達の5つの方法とメリット・デメリット

財務・会計

3か月後から借入金の返済が始まるのに、売上が予定より下がってしまい、このままだと資金ショートしそう・・

どうにかして資金を調達できないだろうか?

事業を経営していくと一度は資金繰りに悩まされることがあると思います。予定より売上が上がらなかった、物価が高騰して仕入価格の支払いが増えた、借入金の返済が始まったなど資金難になる原因は様々です。

そこで今回は資金調達の方法について紹介したいと思います。

本記事の内容

  • 資金調達の5つの方法
  • 5つの調達方法のメリット・デメリット
  • まとめ

資金調達の5つの方法とメリット・デメリット

資金を調達する方法は主に以下の5つの方法があります。

  • 自己資金
  • 個人借入
  • 融資
  • 出資
  • 補助金・助成金

調達方法①:自己資金

調達方法の1つ目は「自己資金」です。悩んでいる経営者の方には「自己資金がないからどうしようか悩んでいるんだ!」という声が聞こえてきそうですが、「自己資金」も資金調達の方法の1つですので、紹介します。

「自己資金」とは文字通り自分の資金を会社に入れることをいいます。具体的には、貯金に限らず、贈与された現金や退職金、個人の資産を売却したお金のことをいいます。

自己資金のメリット・デメリット

【メリット】

  • 返済の必要がないため財務が安定し、急な出費や収⼊の変動に対応できる
  • 経営判断において独⽴性を保てる
  • ⾦融機関や公的機関から借⼊する際、⾃⼰資⾦要件を満たせる

【デメリット】

  • 事業に失敗した場合、⾃⼰資⾦を失う
  • 限られた資⾦内での事業運営となるため、事業拡⼤が制約される可能性がある
  • ⾃⼰資⾦額によっては⼤規模なプロジェクトにチャレンジしにくく、成⻑スピードが遅くなることがある

借金をしたくない人や借入に対する利息を払いたくない人は、自己資金を活用するのがいいでしょう。金額としては少額になるため、一時的なつなぎ資金としての用途が多いです。

調達方法②:個人借入

調達方法の2つ目は「個人借入」です。感覚的には自己資金に近いですが、自分以外の第3者から資金を調達する点で違いがあります。具体的には、「親戚・友人知人からの借入」や「銀行の個人ローン」があります。

個人借入のメリット・デメリット

【メリット】

  • 「親戚・友人知人からの借入」の場合、利子や返済条件を柔軟に決められる
  • 「親戚・友人知人からの借入」の場合、信頼関係があるため、⼿続きが簡単で早く、利⼦や返済スケジュールの合意を得やすい
  • 「銀行の個人ローン」の場合、審査の時間が短く、必要な書類も少ない

【デメリット】

  • 「親戚・友人知人からの借入」の場合、⼈間関係に悪影響を及ぼすおそれがある
  • 「親戚・友人知人からの借入」の場合、⾃分たちで書類の作成や、取り決めをする必要がある
  • 「銀行の個人ローン」の場合、⾦利負担が銀⾏融資より⼤きい
  • 「銀行の個人ローン」の場合、返済期間の延⻑や条件変更が難しい

個人借入は主に「親戚・友人知人からの借入」が多いです。返済が遅れたり、出来なくなってしまった場合に人間関係が悪くなってしまうため、友人知人は極力避け、親兄弟から借りる人が多いですね。用途としては自己資金同様に、補助金が入金される前の一時的な資金や運転資金に使われます。

調達方法③:融資

調達方法の2つ目は「融資」です。融資には様々な種類があるため、主要な4つの方法を紹介します。

  1. 日本政策金融公庫からの融資
  2. 制度融資
  3. 銀行融資、信用金庫融資
  4. マル経融資

日本政策金融公庫からの融資

⽇本政策⾦融公庫は、中⼩企業や地域経済の発展を⽀援するために設⽴された公的⾦融機関です。⽇本政策⾦融公庫は、低⾦利や⻑期融資、返済の融通などのメリットがあり、事業のスタートや成⻑に向けて経済的なバックアップをしてくれます。
また、申請や審査の⼿続きのサポートも⾏ってくれるため、起業家の負担も軽減されます。

具体的には「新創業融資制度」「新規開業資金」「⽣活衛⽣新企業育成資⾦」「資本性ローン」などがあります。詳細は下記リンクを参考にして下さい。

日本政策金融公庫HP「融資制度を探す」

日本政策金融公庫からの融資のメリット・デメリット

【メリット】

  • 無担保‧保証⼈なしで融資が受けられる
  • 他の⾦融機関と⽐べて⽐較的早く資⾦調達できる(1ヶ⽉〜1ヶ⽉半ほど)
  • 低⾦利で⻑期融資が受けられる
  • 公的⽀援なので返済計画の柔軟性がある

【デメリット】

  • ⾃⼰資⾦が必要な融資制度もある
  • 説得⼒のある事業計画書を⽤意する必要がある
  • 資⾦の使い道が明確に定められており、それ以外の利⽤はできない
  • クレジットカードの⽀払いや公共料⾦、税⾦などの滞納を過去にしていると借りられないことがある

日本政策金融公庫は公的機関のため、他の金融機関よりも融資を受けやすいです。ただし、日本政策金融公庫は銀行ではないため口座を開設することは出来ません。そのため、他の銀行と一緒に融資する(協調融資)ことになります。融資を受けたいと思ったとき、特に銀行に知り合い等がいない場合は日本政策金融公庫に行くのがいいでしょう。

制度融資

制度融資とは、「地⽅⾃治体」「⾦融機関」「信⽤保証協会」の3つの機関が連携して⾏う融資のことです。制度融資の特徴は以下の3つです。

  1. 信⽤保証協会が事業者と⾦融機関の間に⼊るので、万が⼀返済ができなくなった場合、残債を肩代わりしてくれる
  2. 地⽅⾃治体が信⽤保証料を補助するなど、事業者の負担を軽減できる
  3. 創業したばかりの事業者でも融資が受けやすく、利⼦の負担軽減などの優遇措置が受けられる
制度融資のメリット・デメリット

【メリット】

  • ⾦利が低い
  • ⻑期融資、保証制度などで負担を軽減できる
  • ⼀般的な⾦融機関より審査のハードルが低い
  • 創業者向けのサポートを受けられる

【デメリット】

  • 「地⽅⾃治体」「⾦融機関」「信⽤保証協会」それぞれで⼿続きが必要なため、融資開始までに時間がかかる(⽬安として3ヶ⽉ほど)
  • ⾃⼰資⾦要件が定められているケースがある
  • 保証料を取られるため、手取り額が少なくなる
  • 特定の産業や⽬的に限定されることが多い

制度融資は一番といっていいほどよく使われます。銀行としては、万が一貸したお金が返ってこなくなったとしても信用保証協会が肩代わりするので、リスクがないからです。その分、信用保証協会が厳しくチェックするため、事業計画書などの返済が可能である資料が必要になります。

事業計画の作成を依頼・相談したい人は、こちらの問い合わせまで

銀行融資、信用金庫融資

銀⾏融資と信⽤⾦庫融資は、⾦融機関からの資⾦調達⼿段です。銀行融資は営利目的で貸付を行い、信用金庫融資は地域活性化を目的としているため、銀行融資の方が審査は厳しいです。

銀行融資、信用金庫融資のメリット・デメリット

【メリット】

  • きちんと返済していれば経営に介⼊されない
  • 利⼦を損⾦に計上できるため、節税につながる
  • 専⾨的なアドバイスを受けられる
  • 【銀⾏】全国どこでも利⽤できる
  • 【信⽤⾦庫】地域に特化したアドバイスが受けられる

【デメリット】

  • 元本と利⼦、⼿数料を基本的には⽉々返済する必要があり、資⾦繰りに注意が必要
  • 借⼊⾦が負債になるため⾃⼰資本⽐率が下がる
  • ⼀部の融資では担保や保証が必要⼿続きや審査に時間がかかるケースがある
  • 【銀⾏】条件によっては審査が通らないケースがある
  • 【信⽤⾦庫】対象地域が限られている

制度融資とは違い、信用保証協会を使わずに金融機関がリスクを負って貸付を行います。そのため一般的には担保や保証を求められたり、金利が高くなる傾向にあります。最近では経営者保証を取らない動きになってきているので変わってきていますが、もし銀行に行くのであれば、事前に下記記事をご一読してからと思います。

変わりつつある経営者保証の実情を聞いてきました!【条件・デメリット】

マル経融資

マル経融資とは、中⼩企業や個⼈事業主などの⼩規模事業者を対象にした融資制度です。正式名称は「⼩規模事業者経営改善資⾦融資制度」です。商⼯会議所の推薦に基づき、無担保‧無保証⼈で最⼤2,000万円の融資を⽇本政策⾦融公庫から受けられます。経営改善を⽬的とした融資のため、創業資⾦は対象外です。詳細は下記リンクを参考にして下さい。

マル経融資/日本商工会議所

マル経融資のメリット・デメリット

【メリット】

  • 無担保‧無保証⼈で、最⼤2,000万円の融資が受けられる
  • 商⼯会議所からの経営指導が受けられる

【デメリット】

  • 基本的には創業後に活⽤できる融資制度(1年以上の経営実績が必要
  • 資⾦の使い道は運転資⾦‧設備資⾦のみ
  • 申し込み前に商⼯会議所などの経営指導を6ヶ⽉間受ける必要がある

マル経融資は商工会議所の経営指導を6ヶ月間受けて、推薦を受けることが要件となっています。そのため、すぐ資金が必要な方は別の資金調達の方法を検討しましょう。

調達方法④:出資

調達方法の4つ目は「出資」です。出資とは、出資者から資⾦を援助してもらう⽅法のことです。出資にはいくつか方法がありますが、今回は3つ紹介したいと思います。

  1. ベンチャーキャピタル
  2. クラウドファンディング
  3. 企業からの出資受け入れ

ベンチャーキャピタル

投資会社や投資ファンドなどの専⾨投資家グループから出資してもらう⽅法です。専⾨投資家グループとはスタートアップや成⻑段階の企業に出資して株式を取得し、将来事業が成⻑し上場した際に株式を売却して利益を得る会社‧グループのことです。

ベンチャーキャピタルのメリット・デメリット

【メリット】

  • ⾃社の株式を発⾏して資⾦を調達するため、返済する必要がない
  • 実績がなくて⾦融機関などから資⾦調達ができない場合でも、急成⻑が⾒込めると認められれば資⾦調達できる可能性がある
  • 出資先から経営ノウハウやアドバイスを受けられる

【デメリット】

  • 株式持分が減少する
  • 意図しない経営介⼊をされることがある
  • 早期の企業成⻑を求められやすい
  • 投資家との協⼒やリターンの達成が成功しない場合、出資資⾦を回収されるおそれがある

急成⻑を⽬指すスタートアップや⾰新的なアイデアをもつ起業家であれば、ベンチャーキャピタルを検討することもアリです。ただし、現実的で実現可能な事業計画や損益計画などを作りこみ、相手を納得させなければならないため、ハードルは高いです。

クラウドファンディング

クラウドファンディングは、インターネット上のプラットフォームでプロジェクトに共感した⼈から資⾦を集める⽅法です。⽀援者には、対価として商品やサービス利⽤などのリターンや特典を提供することが⼀般的です。

クラウドファンディングのメリット・デメリット

【メリット】

  • ⾦融機関などからの資⾦調達が難しくても、共感者がいれば資⾦調達できる
  • 広告宣伝や、アイデアの検証‧市場需要の確認にも活⽤できる

【デメリット】

  • 共感してもらえなければ資⾦が㗿まらない
  • 運⽤やリターン提供に⼿間がかかる
  • 出資者のプライバシー管理が必要
  • 知的財産の保護が必要

クリエイティブな事業や、社会的意義の⾼い事業を持つ⼈、融資以外の資⾦調達を検討したい⼈に向いている方法です。ただし、金額が少額になりがちであることとクラウドファンディングしていることを知ってもらわなければ効果は出ないので、SNSなどで拡散する必要もあります。

企業からの出資受け入れ

企業からの出資受け⼊れは、別の企業から資⾦を調達する⼿法です。対価として出資者に株式や利益を分配します。株式の譲渡⽐率が50%を超えると経営権が失われるので、注意が必要です。

企業からの出資受け入れのメリット・デメリット

【メリット】

  • ⼤きな出資が期待できる
  • 出資元企業の⼈的‧技術的‧営業的なノウハウの享受が期待できる

【デメリット】

  • 企業からの株式の出資⽐率が50%を超えると経営権を失う
  • 出資を受ける⽐率が⾼まるほど、経営の⾃由度が損なわれるおそれがある

他にも売掛金などを資金化する方法もあります。詳しくは下記リンクへ。

えんナビ

調達方法⑤:補助金・助成金

調達方法の5つ目は「補助金・助成金」です。補助⾦‧助成⾦は、政府や地⽅⾃治体などが実施する資⾦⽀援です。補助⾦は採択件数や⾦額が決まっており、審査がある制度です。助成⾦は要件を満たせば受給できる可能性が⾼い制度です。

補助金・助成金については、こちらを参考にして下さい。

補助金・助成金のメリット・デメリット

【メリット】

  • 返済不要なため、資⾦繰りを圧迫せず経済的な負担が軽い
  • 助成⾦は受給要件を満たすと利⽤できる可能性が⾼く、資⾦調達のハードルが⽐較的低い
  • 補助⾦‧助成⾦によっては、プロジェクトの実現や成⻑を⽬的とした専⾨的な⽀援も受けられる

【デメリット】

  • 申請プロセスが複雑で時間を要する(受給に2ヶ⽉以上かかる場合も)
  • 補助⾦によっては競争が激しく、審査通過が難しい場合がある
  • 追加の報告が求められることもある
  • 申請資格や使⽤⽬的に制約がある

補助金・助成金は要件を満たしたことを確認後、入金されるため、設備を購入したりする場合は一時的に資金が必要になります。補助金が採択されたことを金融機関に連絡し、入金されるまでのつなぎ資金を借りるという手もあります。金融機関も補助金が入ってくれば返済されるため、融資しやすいですね。

まとめ

今回は資金調達の方法を紹介してきました。個人的には、事業拡大や設備投資以外では借入はしない方がいいと思っています。それぞれ本業の収入である売上をどうやって増加させるか、不要な経費はないか、などまずは自社を見直すことが大事です。

その場しのぎで借りても、収入がなければ負債が大きくなるだけで根本的な解決になりません。商工会・商工会議所や全国のよろず支援拠点に相談し、専門家からアドバイスを受けることをお勧めします。

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