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CSV経営とは?CSRとの違いや具体例、メリットを詳しく解説!

経営改善

近年、SDGsやESG投資の拡大といった背景から、このCSV経営が注目を集めています。

CSV経営とは、企業の事業を通じて社会的な課題を解決することから生まれる「社会価値」と「企業価値」を両立させる経営フレームワークのことです。

今回はCSV経営を聞いたこともない方でも分かりやすく解説していきたいと思います。

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本記事の内容

  • CSV経営の基本的な考え方
  • CSV経営の具体例
  • CSV経営のメリット
  • CSVとCSRの違い
  • まとめ

CSV経営の基本的な考え方

CSV経営とは、「Creating Shared Value(共有価値の創造)」の略で、企業が社会的価値と経済的価値を同時に創出することを目指す経営手法です。CSVは、マイケル・ポーターとマーク・クラマーによって提唱されました。企業が自身の利益を追求するだけでなく、社会や地域に対しても積極的に貢献することで、持続可能な成長を実現するという考え方です。

  1. 経済価値と社会価値の統合:
    • 企業の競争力を高めながら、同時に社会的な課題を解決する取り組みを行います。例えば、環境負荷を軽減する技術を開発することで、コスト削減と環境保護の両方を達成することができます。
  2. 新市場の創出:
    • 新たな市場や製品、サービスを開発することにより、社会的なニーズを満たしつつ、企業の成長機会を拡大します。例えば、未開拓の地域でのビジネス展開を通じて、地域の経済発展と企業の売上増加を図ることができます。
  3. バリューチェーンの強化:
    • サプライチェーン全体での効率化や改善を図ることで、企業の競争力を高めると同時に、サプライヤーや地域社会にも利益をもたらします。例えば、農業分野で持続可能な栽培方法を導入し、農家の収益を向上させながら、企業も高品質な原材料を安定的に調達することができます。

    CSV経営の具体例

    1. ネスレ:
      • ネスレは、コーヒー豆の栽培農家と協力し、持続可能な農業技術を提供することで、農家の生活水準を向上させると同時に、高品質なコーヒー豆の供給を確保しています。
      • 農法に関するアドバイスを提供したり、銀行融資に対する保証をしたりすることにより、高品質なコーヒー豆を安定して仕入れることを実現しています。
      • さらに、高品質な豆には価格を上乗せして、農家に直接支払うことで、栽培農家のモチベーションを高め、生産性の向上と農家の所得の増加をもたらしています。
    2. GE(ゼネラル・エレクトリック):
      • GEは、環境に配慮した製品の開発を進めることで、環境負荷を軽減しながら、新たな市場を開拓しています。例えば、エネルギー効率の高い電力設備を提供することで、顧客のコスト削減と環境保護に貢献しています。
    3. ユニリーバ:
      • ユニリーバは、「ユニリーバ・サステナブル・リビング・プラン」を通じて、環境負荷の低減、健康的な生活習慣の促進、そして持続可能な調達を目指しています。この計画により、ユニリーバは売上の拡大と同時に、持続可能な社会の構築に貢献しています。

    CSV経営のメリット

    CSV経営は、企業に多くのメリットをもたらします。具体的には次の3つです。

    持続可能な成長(SDGsの推進): SDGsとは、2015年9月に国連サミットで採択された「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指し、地球上の誰一人取り残さないことを誓っており、具体的には17のゴール(持続可能な開発目標)と、それぞれの目標を達成するための具体的な指標である169のターゲットが設定されています。このSDGsは、今や世界中の関心事であり、企業がSDGsに貢献しているかどうかは、企業の評価に大きな影響を及ぼします。CSV経営も社会的課題の解決を目指す経営ですので、CSV経営を実践すればSDGsの達成にも寄与できることになります。結果として、社会的な信用を得ることができるでしょう。社会的課題の解決に取り組むことで、新たなビジネスチャンスを創出し、企業の持続可能な成長を実現します。

    ブランド価値の向上: 社会的な貢献を強化することで、消費者や投資家からの信頼と支持を得やすくなります。事業活動自体が社会課題に貢献するCSV経営に取り組むことは、自社ブランドの価値向上に繋がり、結果として、競合他社との差別化にも繋がるでしょう。Z世代は、就職活動においても、社会課題への貢献に関心を高く寄せています。

    従業員のエンゲージメント向上: 社会に貢献する取り組みを通じて、従業員のモチベーションや満足度が向上し、優秀な人材の確保や定着にもつながります。

    CSVとCSRの違い

    • CSV(Creating Shared Value): 社会的価値と経済的価値を同時に創出することを目指す。事業活動を通じて直接的に利益と社会貢献を両立させる。
    • CSR(Corporate Social Responsibility): 企業の社会的責任として、事業活動とは別に行う社会貢献活動や慈善活動を指す。利益の一部を社会に還元する形が多い。

    「CSR」はCorporate Social Responsibilityの略で、日本語だと「企業としての責任」などと訳されます。

    「社会的責任を果たす」という意味においてはCSRもCSVも共通していますが、明確な違いがあります。

    CSRとCSVの最大の違いは、CSRは事業活動と社会課題の解決を分けて考えるのに対し、CSVは社会課題の解決が経済的な利益にも繋がると定義している点です。

    CSV経営の提唱者であるマイケル・ポーター氏は、コストを踏まえた上で社会と経済双方の発展を実現しなければならないという前提の下、「社会のニーズや問題に取り組むことで社会的価値を創造し、その結果、経済的価値が創造されるべき」というアプローチを提唱しています。

    例えば、事業で出た利益の一部を、植林ボランティア活動など自社事業とは関連性の低い分野の社会課題解決に充てるのはCSR活動と言えるでしょう。

    それに対し、飲料メーカーがペットボトルを再利用できる手法を用いて、環境に配慮した取り組みを推進することはCSV活動だと言えます。

    まとめ

    CSV経営は、企業が長期的に持続可能な成長を遂げるために、社会的課題の解決と企業利益の追求を両立させる新しい経営アプローチとして注目されています。SDGsやESG投資の広がりといった世界的な潮流を踏まえても、社会課題の解決を通じて経済的な利益も生み出すというCSV経営のあり方は、今後企業が存続する上で必須の取り組みと言えるのではないでしょうか。

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