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【働き方改革】働き方を変え、ワークライフバランスを充実させよう!

人事・労務

近年、働き方が多様していく中で自社にとってどのように労働環境を変えていけばいいのか?どんな方法があるのか?という悩みに対して、手法と注意点などを紹介していきます。

本記事の内容

  • 働き方改革の背景
  • 働き方の手法と注意点
  • まとめ

働き方改革の背景

働き方改革の背景は多岐にわたりますが、その主な要因として以下のようなものが挙げられます。

    1. 労働環境の変化: 過去数十年で、労働環境は急速に変化しました。テクノロジーの発展により、仕事の場所や時間に関する概念が従来の枠組みから解放され、柔軟な働き方が求められるようになりました。

    1. 労働人口の多様化: 若年層や女性、シニア層など、様々な人々が労働市場に参入しています。これに伴い、従来の働き方に合わない人々のニーズやライフスタイルが重視されるようになりました。

    1. 健康・ストレスの問題: 過重労働や長時間労働による健康被害やストレスが社会問題化しています。労働者の健康とワークライフバランスの改善が求められています。

    1. グローバル競争の激化: グローバル化が進展し、企業はより効率的で柔軟な働き方を求められるようになりました。そのため、労働力の生産性向上が必要とされています。

    1. 少子高齢化と労働力不足: 日本を含む多くの国で、少子高齢化が進行し、労働力不足が懸念されています。このような状況下で、限られた労働力を最大限に活用する必要性が高まっています。

これらの要因から、働き方改革が組織や政府によって推進され、労働環境の改善や労働生産性の向上が図られています。

働き方の手法と注意点

働き方改革の背景が分かったところで、実際にどのような働き方があるのかを紹介したいと思います。

働き方①:裁量労働制

裁量労働制とは、社員の1日の労働時間を実労働時間ではなく、労使間で協議して決定された時間である「みなし労働時間」を1日の労働時間とする制度であり、仮に労使間にて1日のみなし労働時間を10時間と決定したならば、実際の労働時間が14時間であったとしても1日の労働時間は10時間となります。

裁量労働制には、①専門業務型裁量労働制②企画業務型裁量労働制の2種類があります。

専門業務型裁量労働制

専門業務型裁量労働制は専門性が高い業務として法令で定められている19業務(新商品開発業務、情報システムの分析・設計業務、コピーライターなど)についてのみ適用が可能で、労使協定で定めた時間を労働したものとみなすものです。

対象となる19業務の詳細はこちら

企画業務型裁量労働制

企画業務型裁量労働制は企画・立案・調査・分析業務であって、業務の性質上その遂行の方法を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要があり、業務の遂行手段や時間配分の決定など、使用者が具体的な指示をすることが困難な業務について適用が可能で、対象業務が行われる事業場(本社・本店等)にて導入でき、労使委員会の決議によって定められた時間を労働したものとみなすものです。

裁量労働制の導入と注意点

裁量労働制は業務の遂行手段や時間配分を労働者に委ねる制度なので社員にとっては自分のペースで業務を進められること、会社にとっては労働時間が決まっているため年間を通した残業代の把握が可能となります。ただし、みなし労働時間が実際の労働時間と乖離した状態の場合には設定したみなし労働時間が否定され、実際の労働時間に応じた割増賃金の支払いが必要となる可能性があるので、適正な労働時間管理が必要です。

実務でよくある質問

【質問】優秀な新卒社員に対して入社後すぐに裁量労働制を適用することはできるのでしょうか?

【回答】一般に新卒社員に裁量労働制を適用することは困難であるといえます。新卒社員はたとえ優秀であっても、対象業務を適切に遂行するための知識・経験が乏しいと考えられます。

【質問】裁量労働制における判例等はありますか?

【回答】専門業務型裁量労働制にて、税理士資格を有さず、税理士名簿への登録も受けていなかった社員の業務が専門業務型裁量労働制の対象となる「税理士の業務」に当たらないと判断された事例があります。導入する際は、専門業務型裁量労働制の適用対象業務であるか確認する必要があります。

働き方②:フレックス制

フレックスタイム制(Flexible Time制)は、従業員が一定の基準の下で自分の勤務時間を柔軟に調整できる労働制度です。通常、従業員は一定のコアタイム(例えば、10:00から15:00まで)に出勤する必要がありますが、その前後の時間帯を自由に調整できます。例えば、朝早く始めて早めに終わる、あるいは遅めに出社して遅くまで働くなど、個々の生活リズムやニーズに合わせて働き方ができる制度です。企業によっては、週や月単位での勤務時間の積み立てや、一定の基準を満たせば在宅勤務が認められるなど、さまざまなバリエーションがあります。

フレキシブルタイムとコアタイム

フレックスタイム制では労使協定により所定の事項を定めなければならないが、その中でフレキシブルタイム(労働者が始業・終業時刻に設定できる時間帯)とコアタイム(労働者が必ず労働しなければならない時間帯)があります。両方とも設定は任意だが設定する場合にはコアタイム時間が極端に長い場合は(5時間以上)、制度の趣旨に反するため認められない可能性があるため注意が必要です。

フレックスタイム制の導入と注意点

フレックスタイム制を導入することにより、労働者は効率よく労働時間を配分することが出来ます。業務の内容によって閑散期や繁忙期があり、閑散期には早めに帰宅し自己の時間に充てることができ、繁忙期には集中して業務に取り組むことが可能です。また、育児・介護等の事情がある場合にも時間配分を行うことで両立することが可能です。ただし、フレックスタイム制を導入すると出勤時間のずれから会議やその他コミュニケーションの場がコアタイム等の時間に制限されてしまう可能性があるため、コミュニケーションの場の確保の検討が必要です。

実務でよくある質問

【質問】コアタイム以外の時間帯に会議を設定することは可能でしょうか?

【回答】労働者の同意を前提に、コアタイム以外の時間帯に会議を設定することはできると考えられます。

働き方③:時短勤務制

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律により3歳に満たない子を養育する社員若しくは要介護状態の家族を介護する社員で1日の所定労働時間が6時間を超える人が請求することにより、短時間勤務制度の対象となることができます(原則6時間勤務)。ただし、会社は労使協定によの締結により、一部の社員を短時間勤務制度の対象外とすることができます。なお、会社は短時間勤務を行うことが困難な業務に従事する社員に対して労使協定により対象外とする場合は代替措置(育児及び介護時差出勤制度・事業所内保育施設措置・フレックスタイム制の適用等)を規定しなければなりません。

短時間勤務制度の導入

短時間勤務制度の導入により育児・介護により離職を余儀なくされていた社員が継続して働き続けられることや生活に余裕が生まれライフワークバランスの実現が可能になる等のメリットがある反面、業務時間が短くなることにより、今までの業務をこなすことが困難になり、業務範囲の見直しが必要となる可能性やそれによって他の社員の負担が大きくなる可能性があります。時短勤務制度を導入するにあたり、制度の理解を深め、誰もが利用しやすい短時間勤務制度となるように制度設計を行う必要があります。

まとめ

働き方について3つの制度を紹介しました。最近では、労働人口が減少してきており、人手不足になってきています。このような状況で、できるだけ今いる社員にライフワークバランスが取れる環境を整備できるかが重要になります。もちろん、新しく入社する人にとってもライフワークバランスが取れる企業は魅力的です。求人にも有利になる可能性はあります。

検討して、制度を導入してみたいと思ったら社労士に相談若しくは、商工会などの公的機関を利用してみてください。

自社だけでなく外部に業務を委託することでライフワークバランスの取りやすい環境にすることもできますので、参考記事をご覧ください。

参考記事:【業務効率化】アウトソーシングのメリット・デメリットを解説します!

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