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【事業承継】失敗せずに事業を引き継がせるための3つの手法とは??

事業承継

最近、同世代の社長が息子に事業を継がせたらしいなぁ・・・

わしも今年で70歳じゃし、事業承継を考えんといけんかのう。

やっぱり子どもに継がせるんがいいんじゃろうか?

少子高齢化が進み、経営者も高齢化してきています。この経営者のように事業承継を考える事も多くなってきています。

今回は事業承継・M&Aアドバイザーの知識を活用し、事業承継の現状と全体像を解説しながら、事業承継にはどういった手法があるのか、それらの手法のメリット・デメリットをお伝えしたいと思っています。

本記事の内容

  • 事業承継の全体像
  • 事業承継に必要な3つの要素と3つの手法
  • 事業承継を支援する関係機関の紹介

事業承継の全体像

事業承継の目的

まずはじめに「なぜ事業承継するのか」を考えてみましょう。どんなことが思い浮かびますか?

1代でここまで会社を大きくしたのに潰したくない

会社を廃業してしまったら取引先に迷惑が掛かる

会社が無くなると、今いる従業員とその家族の仕事が無くなってしまう

健康上の理由で事業継続が難しい

人それぞれ思いはあると思います。一般的には「going concerns」、つまり企業は事業を継続していくことを前提とした企業活動を行う責任があります。

中小・小規模企業の事業承継の現状・動向

少しデータが古いですが、帝国データバンクが行った「全国企業『後継者不在率』動向調査」によると、2020年の社長の平均年齢は60.1歳と、調査が開始された1990年以降初めて60歳を超えました。さらに2020年時点の社長交代率は3.80%と低水準です。

同調査によると、全国全業種の中では全体の65.1%が後継者不在となっており、国内企業の3分の2が後継者不在であることが分かっています。

しかし、悪いデータばかりではありません。経営者の交代があった企業と交代がなかった企業を比較すると、交代があった企業の方が経常利益率が高い傾向にあります。円滑に事業承継を行えば、事業成長のチャンスとなるかもしれません。

事業承継に必要な3つの要素と3つの手法

事業承継を円滑に行うためには、以下の3つの要素と3つの類型を理解しておく必要があります。

事業承継に必要な3つの要素

  • 経営承継(経営理念、経営計画の策定、経営ノウハウ)
  • 所有承継(株式・事業用資産の承継、税金対策など)
  • 後継者教育(対人能力、問題発見と解決の能力、ビジョン策定能力、実務的能力、経営者としての品格など)

事業承継の3つの手法

  • 親族内承継
  • 親族外承継(従業員など)
  • 親族外承継(外部招聘、M&A)

事業承継に必要な3つの要素

事業承継の3つの要素とは、後継者に引き継がせるべき内容になります。

1つ目の経営承継は、経営者としての地位を引き継ぐことです。ここでいう経営者としての地位とは「会社の経営理念を理解し、経営ノウハウを承継した者」ということです。

経営者が交代した途端、会社としての考え方がガラッと変わってしまっては従業員をはじめ、取引先まで混乱してしまいます。いままでの経営者が積み上げてきたものを大事にしながら、時代に合わせて修正を加えていく必要があります。

2つ目の所有承継は、株式や事業用資産を引き継ぐことです。会社株式と事業用資産の大部分を保有することは経営者のリーダーシップの源泉になります。

3つ目の後継者教育は、引き継ぐ経営者に健全な経営感覚、金銭感覚を教育することです。経営感覚や金銭感覚は1年や2年で身に付くものではありません。

以上の3つが事業承継に必要な要素です。当たり前のように感じますが、小規模な事業者であるほど、この要素を無視しがちです。

息子がやる気になってくれたから、安心して任せられるわぁ

ヒロユキ
ヒロユキ

ただ引き継がせただけでは安心できませんよ。

事業を経営する上で大事にしてきたことや守ってほしいことなどを教育しておきましょう。

事業承継の3つの手法のメリット・デメリット

事業承継の3つの手法とは、どういう人にどうやって引き継がせるかということです。先ほど紹介した3つの手法のメリット・デメリットを表にしてみました。

手法メリットデメリット
親族内承継・内外関係者から心情的に受け入れられやすい
・後継者を早期に決定でき、教育期間を十分にとれる
・所有と経営の分離を回避できる可能性が高い
・経営者にふさわしい人物がいるとは限らない
・相続人が複数の場合、後継者決定、経営権の集中が困難
親族外承継
(従業員等)
・社内から広く候補者を求めることが可能
・長期間勤務している従業員であれば、経営の一体性を保ちやすい
・適任者がいない可能性もある
・株式取得の資金力がない場合が多い
・個人債務保証の引継ぎ等に問題が多い
親族外承継
(外部招聘・M&A)
・広く候補者を外部に求めることが出来る
・現経営者が会社売却の利益を獲得できる
・候補者が企業風土に合わない場合もある
・希望条件を満たす買手を見つけるのが困難である
・経営の一体性を保つのが困難でSる

それぞれの手法にメリット・デメリットがあるため、どれを選ぶかは自由です。しかし、私が思う優先順位では、①親族内承継、②親族外承継(従業員等)、③親族外承継(外部招聘・M&A)の順で検討することをおススメします。

なぜなら、候補者を探しやすいからです。候補者探しから始めていると時間が掛かり、事業承継自体に疲れてしまい、見つかったとしても教育して引き継ぐまでが大変になってしまいます。

また、デメリットが解消できれば、それだけで解決できるので、①から順にデメリットを解消できるか考えてみましょう。

例えば、①親族内承継の場合、デメリットは「経営にふさわしい人物とは限らない」と「相続人が複数の場合、後継者決定、経営権の集中が困難」の2つが挙げられますが、経営にふさわしい人物がおり、相続人が複数いなければ、候補者本人の意思によりますが、親族内承継の手法がいいという事になります。

事業承継を支援する関係機関

事業承継の全体像から事業承継の3つの手法を解説しました。実際には、事業承継を円滑に行えるように様々な支援措置があります。補助金・税制・金融支援など多くの施策がありますので、事業承継を考えられている方は、以下に支援する関係機関を掲載していますので、検討してみてください。

個人的には、事業承継・引継ぎ支援センターがおススメです。全国47都道府県に設置された公的機関のため、相談自体は「無料」です。相談内容ごとに外部専門家を紹介してもらえます。

  • 日本弁護士会連合会・・・弁護士は、依頼者のために親族内・従業員・第三者(M&A)承継が円滑に実現するよう、交渉や契約書作成に携わります。
  • 日本税理士会連合会・・・税理士は、株価の評価、生前贈与や種類株式の発行その他事業承継税制の活用など、相続税、贈与税に関する助言等を行っています。
  • 日本公認会計士協会・・・公認会計士は、財務に関する調査や相談を通じ、企業価値評価、承継スキームの立案、M&Aの実施、PMI等をサポートします。
  • 日本司法書士会連合会・・・司法書士は、商業登記、不動産登記等の相談を通して、事業承継における株式及び事業用不動産の承継、M&A、種類株式及び民事信託の活用についてサポートしています。
  • 日本行政書士会連合会・・・行政書士は、事業承継時の許認可の承継等をサポートします。
  • 中小企業診断協会・・・中小企業診断士は、事業承継診断や、事業承継計画の策定、後継者教育、ポスト承継等に関わる様々なサポートを行います。
  • 事業承継・引継ぎ支援センター・・・47都道府県に設置された公的支援機関で、親族内承継からM&Aまであらゆる事業承継をワンストップで支援します。

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